福岡市の税理士 税理士法人 福岡中央会計税務最新情報

10月1日をはさむ取引で、消費税処理の厄介なケース

2019/9/18 消費税

消費税率引き上げを目前にして、10月1日を挟む取引の消費税について、お尋ねをいただく機会が増えています。
9月30日A社が出荷基準により売上げ、これを10月1日B社が検収基準で仕入れた場合、A社からは旧税率8%適用の請求書がB社に送られます。A社の売上計上は9月、B社の仕入計上は10月とズレがあっても構わないのですが、消費税の取扱いはA社・B社ともに旧税率8%で取り扱うことになります。
ここまでは、国税庁Q&Aなどで周知されていることなので、大きな会社の経理では誤りは少ないのではないかと思います。

 
問題は、B社の仕入システムが柔軟に稼働せず、10月以降の取引をすべて10%で計算し、本来8%の取引のものに10%分の消費税を乗せて支払う場合などです。
A社の対応としては、過払となった2%相当分を仮受金などで処理したうえ、B社に消費税率の説明を行ったうえ、返還するのが妥当だと思います。B社が頑なに対応を拒否するならば、差額の2%相当分は受贈益として益金参入し、これを消費税上不課税取引として扱うことになると思います。

 
厄介なのは、買い手であるB社の力関係が強いため、A社の請求書を10%に書き換えるよう圧力をかけられることです。これはB社の過大な仕入税額控除を実現するために、A社が請求書を偽造することになりますので、決して行ってはいけないことです。大切なお取引先だからと安易に売上先の要請に従うと、信用を失うことになってしまいます。

「消費税軽減税率まるわかりBOOK」改訂

2019/3/29 消費税

2019年10月に予定されている消費税率10%の引き上げと軽減税率制度の導入まで残り半年となりました。

 

複数税率対応レジの導入や、受発注システムの改修などの経費の一部を補助する「軽減税率対策補助金」について、2019年1月から軽減税率対策補助金制度が拡充されました。これを受けて、中小企業庁は3月29日、軽減税率対策補助金の説明書「消費税軽減税率まるわかりBOOK」を改訂しています。

 

改訂版はこちら↓
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2019/190329zeiseikaisei2.pdf

 

従来は補助対象外としていた事業者間取引における請求書等の作成に係る対応(「区分記載請求書等保存方式」への対応)について、これに対応するシステムの開発・改修、パッケージ製品・事務機器等の導入に係る費用も新たに補助対象となります。また、これまでレジの設置と同時に行われる商品情報の登録に係る費用を補助対象としてきましたが、レジ設置時とは別に行う場合も補助対象とするほか、複数税率に対応する「券売機」についても補助の対象とするよう改められました。

 

「補助率の引上げ」では、レジの設置・改修、受発注システムの改修等に要する経費の「3分の2以内」という補助率が、原則「4分の3以内」に引き上げられます。あわせて、3万円未満のレジを1台のみ導入する場合の補助率も「4分の3以内」から「5分の4以内」に引き上げられます。

 

また、「補助対象事業者の取扱い」では、事業者が営む事業に関連する規制により、補助対象外となっていた旅館・ホテル等の一部の事業者に係る取扱いについて、広く補助対象として認められるよう、制度の運用改善が行われることとされています。

福祉車両の非課税措置悪用へ税改正

2014/8/29 消費税

身体障害者用の物品、例えば義肢、盲人用杖、車椅子などが消費税法上、非課税に分類され、その譲渡に当たっては消費税が課されないことは、よく知られた事実です。 また、車両に取り付ける身体障害者用の補助装置も非課税であることは、同じ理屈ですんなりと理解できます。 しかし、一般の車両を購入し、これを改造する形で身体障害者用の補助装置を設置した場合、車両本体の消費税も非課税になるというのは、なかなか気が付かないことです。 驚くべきことに、健常者が一般の車両(とりわけ高級外車)を購入した際に、わざと簡易な補助装置を設置し、相当額の消費税を「節税」しているケースがあるというのです。 そして取り付けた補助装置は、購入後に取り外すのだそうです  これを、一部の税理士が「節税スキーム」として指南しているというから開いた口がふさがりません。 税務当局はこれを問題視し、平成27年度改正で、車両本体分の非課税措置をはずすことを検討しているそうです。 車両の登録には相当のプロセスを要するのに、消費税に関してこのような悪質な「節税スキーム」の存在を許していたこと自体が不思議でしようがありません。 身体障害者に不利益が及ぶことがないよう留意しながら、早急な改正対応をしてもらいたいと思います。

転嫁対策法違反で初の社名公表

2014/5/02 消費税

公正取引委員会は4月23日、昨年施行された「消費税転嫁対策特別措置法」に基づく処分で、初の社名公表を行いました。 公取委のHPはこちら↓ http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h26/apr/140423tenka-kouhyou.html 社名を公表されたJR東日本の子会社は、納入業者による消費税増税分の仕入れ価格への転嫁を拒否したとして、業者負担分の支払いや再発防止を公取委から勧告されています。 4月1日以降、売上減を防止するためセールを企画し、全納入業者161社に文書で企画の参加を要請し、価格の引下げを要求していた点が、特別措置法第3条1号の納入業者に値引きを迫る「買いたたき」の規定に違反するとされました。 公取委は、これまで社名の公表はしない「指導」にとどめてきましたが、同社の売上規模や納入業者数を考慮のうえ判断し、社名公表に踏み切ったと言います。 最も重たいペナルティーをあえて課して、公取委は価格転嫁の徹底を呼びかける選択をしたということです。

再度、前受家賃の消費税を確認

2014/3/20 消費税

4月分家賃の3月前受分については、新消費税率8%が適用されることは、既報の通りですが (2014年01月31日)、この処理についての問合せが多く寄せられます。 消費税法基本通達9-1-20で 「資産の譲渡等の時期は、当該契約又は慣習によりその支払を受けるべき日とする」とあるため、3月支払の前受家賃は5%でよいという解説記事などが出ていたため、混乱を招く結果になりました。 1月20日国税庁発表のQ&Aで、3月支払分でも4月家賃は8%になるとの解説があり、急きょ、上記見解に統一されました。 さて、3月受取り(支払い)の4月分家賃の消費税は、8%税抜き後5%分を仕入税額控除に当て、3%分を仮受金(仮払金)処理して翌期に繰り越したのち、翌期の仕入税額控除に当てることになります。 わずらわしい限りですが、このような会計処理を行ってください。

転嫁法違反への立ち入り検査

2014/3/12 消費税

消費税率引き上げを目前にして、転嫁対策法違反(所謂「下請けいじめ」)の特定事業者への立ち入り検査が本格化しているそうです。 多くの場合、政府の総合窓口センターへ「タレ込み」のあった事業者が対象になっているとみられます。 1月下旬に公表された調査結果では、164件のうち139件、つまり約85%が当局の指導を受けているということです。 立ち入り検査があった場合に、素直に検査を受け入れている限りは、勧告内容の公表などといった事態には発展しないようですので、まずは素直に検査を受け入れることと、納入業者への報復などは絶対に行わないことが肝心のようです。

駆け込み需要には細心の注意を

2014/2/18 消費税

卸売業を営む顧問先からのご指摘です。 消費税率引き上げを目前にして、小売業者に駆け込み需要を促すよう検討していたけれども、とんでもない間違いであることに気が付いた。 先方が本則課税を採用しているならば、税率引き上げ分は、仕入税額控除されるため結果、負担額は変わらないことになってしまう。 先方との事後的なトラブルを避けるため、営業マンには消費税率引き上げを理由にしたセールスを一切行わないように通知した、と言われるのです。 まったくご指摘のとおりであり、そのような事態を想定していなかったことを恥じるばかりでした。 このケースのように、売上先が小売業である場合には、事業者間で転嫁してゆく仕組が明確なのでイメージがしやすいかもしれませんが、例えば商品が事務消耗品などで購入企業が最終消費者である場合には、消費税の転嫁のイメージを抱きにくいと思います。 いきおい、税率5%の間に早めに購入しようという駆け込み需要に乗ってしまう (促してしまう) 結果になります。 もちろん購入者が免税事業者や簡易課税選択事業者、あるいは課税売上割合の低い医療機関や居住用賃貸不動産業者などの場合には、純粋な転嫁がされないため、税率5%のうちに安い買い物をした方が、単純に得にはなります。 しかしながら、これは例外的なケースだと認識しなければなりません。 継続的な取引先に、後々トラブルの種をまくような営業は致命傷になりかねません。 駆け込み需要に対する対応は、くれぐれも気を付けなければならないと感じました。

3月前受家賃は消費税率8%適用

2014/1/31 消費税

不動産の賃貸料は翌月の家賃を前月に支払う「前受」契約になっていることが多く、この場合、平成26年4月分の家賃を3月に支払うことになります。 多くの解説記事では、実際に支払いを受ける3月が資産の譲渡時期なので、3月受け取りの4月分家賃に係る消費税率は5%となるというものでした。 またこの根拠として消費税法基本通達9-1-20が挙げられていました。 ところが平成26年1月20日に国税庁から発表された「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A」では、新税率8%を使うのが正解とされています。 国税庁Q&Aはこちらから↓ https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/201401qa.pdf 国税庁は、基本通達9-1-20は適用税率引上げを想定したものではないと判断し、新法が施行日以降の資産譲渡等に対して適用されるべしという大前提に立つもののようです。 税務雑誌など色々なところから、記事訂正の報告とお詫びの文書が届いています。 実務において間違いのないように気を付けたい点です。

簡易課税制度の改正

2013/12/11 消費税

13日にも発表される予定の、平成26年度税制改正大綱の内容が少しずつ明らかになってきました。 交際費課税の緩和など新聞などで大きく報じられている他に、納税者にとって不利益な改正案も見られます。高額所得者の給与所得控除の減額のほかに、消費税関係の重要な変更も予定されています。 消費税簡易課税制度のみなし仕入れ率の改正は、毎年の税制改正で話題に上っていましたが、今回は厳しい改正が現実のものになりそうです。 ・ 不動産業のみなし仕入れ率が現行の50%から40%に引き下げられ、 ・ 金融業・保険業については現行の60%から50%に引き下げられる というのが具体的な改正内容です。 平成27年4月1日以後開始の事業年度から適用される予定です。 該当業種は、税率アップとは別に、資金繰り対策が必要になってきます。

国境を超えた役務提供等への消費税課税

2013/11/15 消費税

政府税制調査会では、国境を超えた役務提供等に対する消費税課税について議論をしています。 現行は資産の譲渡・貸付があった場合には、その資産の所在場所で、役務提供が行われていた場合にはその事務所所在地によって、「内外判定」を行い、消費税の課税・不課税の判断を行っています。 しかしながら、この判定基準ではインターネットなどを利用した役務提供の課税が適正に行われないおそれがあるとして、基準の見直しを行っているわけです。 財務省資料は以下の通り↓ http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/discussion1/2013/__icsFiles/afieldfile/2013/11/14/25dis12kai4_1.pdf 財務省は、B to C取引、B to B取引それぞれについて課税案を提出していますが、取引規模に応じた取り扱いの必要や、実際の執行上の問題点などから、議論はまとまらず、平成26年度税制改正大綱に改正方針を盛り込むのは難しい状況だそうです。 今後の税制調査会の議論に注目したいと思います。
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