教育資金の一括贈与非課税枠の腑分け
2013/5/02 相続税
教育資金の一括贈与制度にかかるQ&A
2013/4/15 相続税
教育資金の一括贈与1500万円非課税枠の設置が確定しましたが、資金使途である「学校等」に含まれる範囲や、それ以外の非課税枠が認められる範囲について、様々な憶測が流れていました。
文部科学省は4月1日付で、非課税措置に係るQ&Aを公表し、非課税枠の適用範囲を明確にしています。
文部科学省のHPはこちらから
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http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/zeisei/__icsFiles/afieldfile/2013/04/01/1332772_1.pdf
これによると、「学校等」に支払うものの範囲として、入学試験検定料、在学証明、成績証明の発行手数料、修学旅行費、遠足費、給食費などが含まれるそうです。
また500万円を上限とする「学校等以外」の支出については、学習塾、家庭教師、水泳教室などに対するもので、「社会通念上相当と認められる金額」に限り、非課税措置の適用を認めるとしています。
また金融機関に対する領収証等の提出方法について、領収書等の日付記載日から1年以内に提出する方法と、記載日の翌年3月15日までに提出する方法のいずれかひとつを選択し、この選択は変更できないとされている点も、要注意です。
孫への教育資金贈与
2013/2/08 相続税
祖父母から孫への教育資金贈与が1500万円まで非課税となる税制改正大綱の内容について、ご質問を受ける機会が増えました。
祖父母からそれぞれ1500万円ずつ贈与が可能か、というのが最も多い質問です。
これは受贈者1名につき1500万円を限度としますので、例えば2名から合わせて3000万円を贈与しても、超過した1500万円には普通の贈与税が課せられます。
大綱には「一括贈与」という文言がありますが、必ずしも1年度中にすべての贈与を終える必要はないようです。例えば500万円ずつ3年に分けて合計1500万円の贈与となった場合にも、この制度は使えるようになるそうです。
また、基礎控除110万円や「相続時精算課税制度」との併用も可能となるという情報も伝えられています。
今年の4月1日から平成27年12月31日までの3年間の時限的措置ですので、この点も充分に念頭に置いておかなければなりません。
良いニュースと悪いニュース
2013/1/10 相続税
「良いニュースと悪いニュースがあるけれどもどちらから聞きたい?」
こういう言い回しがあります。
多くの場合、悪いニュースのショックを和らげるための前置きとして使われます。
そういう訳なので、良いニュースも実は取って付けたようなものに過ぎません。
自民党は、祖父母の孫に対する教育資金贈与について、時限的に1500万円を上限として贈与税の非課税枠を設けることを検討しているそうです。
これを受けて昨日、教育関連の上場株が急騰したというおまけまで付いています。
しかし、これも冒頭に述べた「良いニュース」の部類に入るのではないかと思います。
相続税増税は贈与税減税とセットで税制改正の俎上に乗せられてきた経緯があります。つまり「悪いニュース」のもうひとつの側面としてこれまで登場してきたのです。
相続税増税について、さすがに民主党政権時の改正案をそのまま採用することはないのでしょうが、自民党政権も相続税増税に踏み切るのだと思います。
これから「悪いニュース」が待っていると覚悟すべきだと思います。
自民党も相続税増税に着手か
2012/12/30 相続税
安倍内閣組閣の翌日のニュースに、自民党も富裕層課税を検討し始めているというものがありました。
消費税率引き上げに伴い、富裕層にも所得税や相続税で相応の負担をしてもらおうという動きですが、自民党はこれまで相続税増税には強く反発していたはずです。
民主党政権時の、相続税にかかる基礎控除を4割カットというものではなく、3割や2割カットなどの「おとなしい改正」の自民党独自案を作成することを検討するようなのですが、それにしても 「話が違う」 感は否めません。
自民党税調の税制改正大綱は、来年1月下旬をめどに作成される予定です。
税調議論の過程などをオープンにする、民主党政権の残した良きプロセスは今後も継続してもらいたいと思います。
国税庁の意見書に「相続税の推計課税」
2012/11/30 相続税
平成25年度税制改正に向けて国税庁がまとめた意見書の中に、相続税の課税財産の範囲に関する「推定規定の新設」が盛り込まれているそうです。
より具体的には、「相続開始以前の一定期間中に、被相続人の財産を処分または被相続人が債務を負担したもので、その使途が客観的に明白でなく、かつ、その合計額が一定金額以上となる場合には、これを相続人が相続したものと推定し、相続税の課税価格に算入する制度を創設する」というものです。
ゾッとする話だと思います。
相続人には知り得ない、被相続人のプライベートな世界があり、それでも何とか客観的な相続財産の総額をまとめようと努力して申告納税にこぎつけているのが、現在の相続税申告制度の実態です。
それうえで把握しきれなかった財産が具体的に判明した場合には、相続人の努力の及ぶ範囲外であったと納得して修正申告を行っています。
しかし、使途が客観的に明白でない場合の財産について課税される場合には、相続人はとうてい納得ができないでしょう。それは相続人の責任の範疇から外れるものだからです。
死期がある程度読めるようになって、お世話になった人たちに会いに行き、頻繁に食事会をされていた方がおられました。本人の生き甲斐のようになっていたため、家族もいちいち誰と会う約束なのか聞くこともなく、本人の好きにさせていたようです。
また、賭け事の好きな人は、やや羽目を外してお金をつぎ込んでしまうかもしれません。
任意団体などに匿名で多額の寄付をした場合はどうなるのでしょう。
これらに対して、使途が客観的に明白でないために課税対象とする、とした場合には、相続人に対してあまりに酷な制度だと思います。 また亡くなる前の大切な時期に、相続人がお金の使途にいちいち口出しするような関係を作り出すのではないかとも思います。
国税当局は「人が亡くなる」という厳かな現実に対して、いま少し畏怖の念を抱いてもよいのではないかと思います。
課税庁の意見にとどまっているあいだに、早期の再考を促したいと思います。
国民年金保険料の10年分後納制度
2012/11/02 相続税
平成24年10月1日から平成27年9月30日までの3年間の時限措置として、未納状態となっている国民年金保険料を過去10年分まで後納することができます。
この制度を使って生計一の親族分の保険料をまとめて後納した場合、その全額が支払った当人の社会保険料控除として計上できます。節税効果も大きいことから、制度利用の検討をされている納税者も多いと思われます。
ところが、過去10年分の未納保険料合計額、約160万円が贈与税非課税枠110万円を上回るため、課税庁は贈与税課税の可能性を示唆しています。
保険料を肩代わりしてもらった、配偶者や子に後納保険料を支払うだけの収入がある場合、実際負担者からの贈与であるとして課税対象とするというのです。
時限措置は3年間設けられているため、制度を利用して支払い能力のある親族の後納保険料を負担する場合には、分割納付を検討するのが懸命だと思われます。
事業承継税制の改正議論も
2012/10/02 相続税
平成25年度税制改正では、事業承継税制の見直しが論点となるようです。
平成20年に導入されたものの、その要件が厳しすぎることで、事業承継税制は敬遠されてきました。実際この3年間で、相続税に関する適用累計数は、わずか348件にとどまっています。
財務省もこの状態を放置することで、制度そのものの存続が危ぶまれるとの認識から、来年度税制改正の論点に取り込む方針のようです。
ちなみに現在、経済産業省、中小企業庁から出されている要望は、以下の項目です。
①親族外承継も対象にすべき
②「役員」退任要件を緩和して、「代表者」退任要件へ
③雇用8割以上継続要件を、5年継続ではなく5年間の平均へ
④5年経過後に、猶予額を全額免除
⑤会社事業資金の担保となっている不動産も対象に
このうち財務省は③の5年間雇用要件について、問題意識を持っており、何らかの改正が行われる可能性があります。
金投資に対する考え方
2012/7/11 相続税
今朝(7月11日付)の日経新聞に、金投資の特集記事が載っていました。
記事によると、調査機関のゴールド・カウンシルの試算では、株式55%、債権25%を中心とした標準的なポートフォリオに、金を4.4%組み入れると、組み入れない場合に比べて、利益の増加、損失の抑制効果のいずれもが認められたそうです。
かつて金を扱っている方から、金で利益を上げるのは至難の業だ、金をもつのは「趣味」の話と考えた方がよい、とお話しを聞いたことがあります。
日経の記事にもあるように、有事に強みを発揮する金は、平時には魅力のうすい商品になります。 金は有事への備えとして「買ったら忘れる」のが基本との考え方もあるという指摘もあります。
一方、国内投資家にとって最大のリスクのひとつが、円の急落とインフレというシナリオであると言われています。その意味で、金投資の重要性は増しているのかもしれません。
短期の利益を決して求めず、あくまでも急にお金が必要になったときまでに動かさないという覚悟を持てるか。それだけの余裕資金なのか、という見極めが金投資の勘どころでしょう。
国税庁、相続税申告事績公表
2012/4/26 相続税
国税庁は、平成22年分の相続税申告事績を公表しました。
公表の対象は、相続税額のある申告書で、平成23年10月31日までに提出されたもの及び震災特例法により申告期限が24年1月11日まで延長が認められた被災者が提出したものを合わせたものです。
これによると、被相続人数は過去最高となる119万7千人で、このうち相続税の課税対象被相続人数は約5万人、課税割合も4.2%と0.1ポイント微増しています。 また課税割合が増加するのは3年ぶりとなるそうです。
つい最近まで、被相続人の数はおおむね百万人と考えていました。 これがあっという間に120万人に到達し、2025年には170万人にまでふくれあがると言われています。高齢化社会への本格的な突入を実感する数字です。
課税割合は微増しているようですが、税額そのものは前年度を割り込んでいるので、財産を「広く浅く」保有する分布に変わってきているのかもしれません。
相続税の改正がかりに行われ、基礎控除が大幅に引き下げられると、課税割合は当初予想よりも大きくなるかもしれませんが、税収もさほど見込めない可能性があります。