福岡市の税理士 税理士法人 福岡中央会計税務最新情報

相続税の調査マニュアル

2014/3/09 相続税

平成27年から導入される相続税の増税に伴って、相続税の税務調査についてより深度あるものとすべく、税務当局はマニュアルを作成して準備をしているということです。 たとえば、「名義預金」とされるものの所属をめぐっては、客観的な証拠を集める事は難しく、その管理状況や運用状況について、相続人の証言に基づいて判断することが多いのが実情です。 このため法廷で納税者が証言を覆すことによって重加算税の根拠がなくなることも少なからずあります。 これに対応するため、マニュアルでは聴取書や調査報告書をその都度細かく作成して、証拠固めをするよう促しているそうです。 現在でも重加算税を課そうとする場合には、必ず修正申告前に「一筆」納税者に入れさせる慣行がありますが、あらかじめ課税庁職員が作成した原稿文を見ると必ずしも事実を正確に反映せず、拡大解釈を誘発させるものも散見します。 納税者にしてみれば何が重要な論点で、何を確認したいのかが不明確なまま、「その場の勢い」で署名させられるのではたまりません。 納税者も「一筆」入れる場合には、従来よりも一層注意をして不正確な申述を強いられないよう気を付けなければなりません。

二世帯住宅への特例適用の具体例

2014/2/28 相続税

二世帯住宅に対する小規模宅地の特例の緩和が、今年1月発生の相続から適用されますが、具体的取り扱いについての説明が、国税庁から公表されています。  国税庁HPの説明箇所 (資産税課情報第1号) はこちら↓  http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/sozoku/140115/pdf/01.pdf 事例を挙げた説明では、例えば、区分所有登記されていない建物に、被相続人甲と、相続人乙が居住しており、相続発生後相続人乙が居住を継続するとともに、いわゆる「家なき子」相続人丙が甲居住部分を取得した場合の適用について説明しています。 この場合、相続人甲取得分、乙取得分の土地はともに特定居住用宅地として、特例の適用になるとしています。 また問い合わせの多かった、甲と乙が「生計一」であった場合にも、丙取得土地に対して、特例適用があるとしています。

立退料の所得区分

2014/2/20 所得税

先般、弁護士が原告となる税務訴訟で、弁護士会役員が懇親会等に出席する費用が必要経費として認められる最高裁判決が出たところですが、今日ご紹介する事案は、裁判所が原告弁護士に不利益な判断を下したケースです。 弁護士である原告が、法律事務所の移転に伴い賃貸人から取得した「立退料」の所得区分が問題となっていた事案で、東京地裁は1月25日、立退料は事業所得に該当するとの判断を示しました。 原処分における事業所得との判断に対して、原告である弁護士は、立退料は弁護士の職務とはまったく関係ない収入であるため事業所得に該当せず、一時所得であると主張していました。 裁判所はこの判断を退け、課税庁の主張を認めたわけです。  裁判所は、弁護士が業務を行う際には、弁護士法により法律事務所を設けることが必要とされ、その維持および管理の業務は、所得税法施行令94条1項の注書きにおける「事業所得を生ずべき業務」に含まれる、としています。 そのうえで、今回の立退料は、旧事務所から新事務所への法律事務所の移転に伴い増加する事業所得に係る必要経費を補填する趣旨のものであるから、所得税法施行令94条1項2号の規定により、事業所得に該当すると結論付けています。 所得税法施行令94条 不動産所得、事業所得…を生ずべき業務を行なう居住者が受ける次に掲げるもので、 その業務の遂行により生ずべきこれらの所得に係る収入金額に代わる性質を有するものは、これらの所得に係る収入金額とする。  二 当該業務の全部又は一部の休止、転換又は廃止その他の事由により当該業務の収益の補償として取得する補償金その他これに類するもの

駆け込み需要には細心の注意を

2014/2/18 消費税

卸売業を営む顧問先からのご指摘です。 消費税率引き上げを目前にして、小売業者に駆け込み需要を促すよう検討していたけれども、とんでもない間違いであることに気が付いた。 先方が本則課税を採用しているならば、税率引き上げ分は、仕入税額控除されるため結果、負担額は変わらないことになってしまう。 先方との事後的なトラブルを避けるため、営業マンには消費税率引き上げを理由にしたセールスを一切行わないように通知した、と言われるのです。 まったくご指摘のとおりであり、そのような事態を想定していなかったことを恥じるばかりでした。 このケースのように、売上先が小売業である場合には、事業者間で転嫁してゆく仕組が明確なのでイメージがしやすいかもしれませんが、例えば商品が事務消耗品などで購入企業が最終消費者である場合には、消費税の転嫁のイメージを抱きにくいと思います。 いきおい、税率5%の間に早めに購入しようという駆け込み需要に乗ってしまう (促してしまう) 結果になります。 もちろん購入者が免税事業者や簡易課税選択事業者、あるいは課税売上割合の低い医療機関や居住用賃貸不動産業者などの場合には、純粋な転嫁がされないため、税率5%のうちに安い買い物をした方が、単純に得にはなります。 しかしながら、これは例外的なケースだと認識しなければなりません。 継続的な取引先に、後々トラブルの種をまくような営業は致命傷になりかねません。 駆け込み需要に対する対応は、くれぐれも気を付けなければならないと感じました。

交際費の飲食費50%損金算入制度について

2014/2/10 法人税

平成26年度税制改正では、交際費等の額のうち、飲食のために支出する費用の50%の損金算入を認める特例が設けられており、平成26年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度に適用されます。 この制度の解釈を巡って、大綱発表当初から、若干の混乱が見られましたので整理をしてみます。 1. 大法人も、5,000円基準を適用可能  大綱の書きぶりが、中小法人について飲食費50%との選択が可能というものだったため資本金1億円超の大法人については、「特例」の選択が認められないと解釈する向きもありました。 その後、大法人についての5,000円基準適用が確認されています。 2. 飲食費の50%は5,000円基準該当分を差し引いた残額に対して中小法人が「選択」できるのは、飲食費の50%損金か800万円頭打ち損金かのいずれかなので、5,000円基準はどちらを選択しても適用されます。  したがって、50%飲食費の制度を採用する際にも、5,000円基準該当分は、まず差引いて計算することになります。 3. 社外交際の飲食費ならすべてOKではない  50%損金飲食費は、5,000円基準における飲食費の範囲と同様になるとみられるので、ゴルフ、観劇、旅行等の催事に際しての飲食費は対象になりません。

3月前受家賃は消費税率8%適用

2014/1/31 消費税

不動産の賃貸料は翌月の家賃を前月に支払う「前受」契約になっていることが多く、この場合、平成26年4月分の家賃を3月に支払うことになります。 多くの解説記事では、実際に支払いを受ける3月が資産の譲渡時期なので、3月受け取りの4月分家賃に係る消費税率は5%となるというものでした。 またこの根拠として消費税法基本通達9-1-20が挙げられていました。 ところが平成26年1月20日に国税庁から発表された「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A」では、新税率8%を使うのが正解とされています。 国税庁Q&Aはこちらから↓ https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/201401qa.pdf 国税庁は、基本通達9-1-20は適用税率引上げを想定したものではないと判断し、新法が施行日以降の資産譲渡等に対して適用されるべしという大前提に立つもののようです。 税務雑誌など色々なところから、記事訂正の報告とお詫びの文書が届いています。 実務において間違いのないように気を付けたい点です。

中小企業投資促進税制のよくある間違い

2014/1/31 法人税

課税当局は、中小企業投資促進税制の適用誤りの「よく見られるケース」について発表しています。 それによると、 ① 資本金1億円の法人が税額控除を適用するケース ② CTスキャナなどの医療機器を機械装置として適用するケース ③ 貨物運送用小型自動車を適用対象とするケース などの誤りが多いそうです。 ①については、税額控除は資本金3千万円以下に限定。 ②については、医療機械は「器具備品」であって「機械装置」ではない。 ③については車両総重量が3.5トン以上のみ適用可。 なので、①、②については書類チェックレベルですぐに間違いに気が付く事項です。  CTスキャナなど「見た目は明らかに機械」ですが、よくある間違いであることは、前から指摘されているポイントです。 3月決算に向けて間違いの無いよう気を付けたいところです。

二世帯住宅について地方税のチェックを

2014/1/29 相続税

今年発生の相続から、二世帯住宅の小規模宅地特例の適用要件が大幅に緩和されることは周知のとおりです。完全独立型の二世帯住宅であっても、その敷地部分は「被相続人との同居」と同様に評価減ができるという改正です。 また、親子二世帯の持分を「区分登記」していては、この特例は適用できないため、「共有持分」で登記しなければならない、というのも知られるようになってきました。 ところが、不動産取得税や固定資産税、都市計画税といった他の税金の特例を考えると、必ずしも「共有持分」が得とも断言できないことがわかってきました。 不動産取得税に関しては240㎡以下の課税標準について1200万円を控除でき、固定資産税については200㎡以下の分の評価額が6分の1、200㎡長の部分が3分の1となる優遇措置が、「1戸ごとに」適用されます。 つまり、2世帯で区分登記してしまえば、不動産取得税、固定資産税等の特例を2世帯分適用が可能ということです。 相続税負担が確実に発生し、地価も高い宅地ならば、小規模宅地の特例適用は外せないでしょう。 しかし相続税課税の可能性が極めて低いと予想される場合には、不動産取得税、固定資産税等の優遇を受けるべきです。 まずは、不動産取得税、固定資産税等の試算をすることが必須だと考えます。

1号・9号以外の事業用資産買換え特例

2014/1/24 所得税

法人や個人が特定事業用資産(店舗、事務所やその敷地)を譲渡し、一定の要件を満たす事業用資産について買い換えた場合、課税を繰り延べる措置について、3年間延長する旨が平成26年度税制改正に盛り込まれています。 措置法37条5号では譲渡資産について短期所有(5年以下所有)の土地には、この特例を適用しない旨が規定されている一方で、同条10項では「個人」のみ短期所有物件の譲渡でも適用可能とされていました。 つまり、10年間の所有期間の定めのある1号・9号買換「以外」の買換え特例につき、短期所有土地について、法人は「不可」、個人は「可」という区別がされてきました。 今回の税制改正大綱では、法人課税についての記載はあるものの、「所得税についても同様とする」という文言があるのみで、個人についての短期所有土地の取り扱いが、従来通りなのかどうかが不明確でした。 担当省庁などからの回答では、個人については従来通り、短期所有土地についても課税繰り延べ措置が認められるということです。 よく使われる9号買換えについては10年間の所有が要件であるため、いずれにしても短期所有土地には適用はありません。

弁護士会役員の経費に係る最高裁判断

2014/1/22 所得税

弁護士の弁護士会役員として支出した懇親会費などが、当の弁護士の必要経費になるか争われていた事案で、最高裁は上告していた国側の上告受理申し立てを受理しないことが明らかになりました。 これで、上記事案の支出は「必要経費」として認められることが確定しました。 納税者勝訴の高裁判決が、従来の課税実務の判断を覆すものだっただけに最高裁の判断が待たれていた事案です。 同様の「士業」の必要経費に関する考え方に、国税庁の判断変更を迫るものであることは間違いありません。 さらには、経費の要件として用いられることがある「事業にとって直接必要なものかどうか」という判断基準が、従来通りには機能しなくなることも考えられます。
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