ゴルフ会員権譲渡損の損益通算廃止の余波
2013/12/25 所得税
ゴルフ会員権の譲渡損失に係る損益通算が、今年一杯で廃止という新聞報道が先月末になされたこともあり、いまだに今年中の廃止を前提に売買がなされているケースがあるようです。
12日発表の税制改正大綱では、廃止は来年4月1日以後譲渡からとされましたが、これについて周知されていないということです。
ゴルフ会員権は年内の売却を急ぐため「投げ売り」が発生し、相場が暴落しているという話も聞きます。
今回、納税者への不利益遡及となる1月1日廃止を避けたのは、平成16年の不動産譲渡損失の不利益遡及が多くの訴訟を引き起こしたため、同様のトラブルを避けようという思惑が働いたからだと言われています。
個人所得税の改正は1月1日が原則とされていた従来の考え方が、今回の改正によって完全に改められたと言えます。もちろん12月31日で特例措置が期限を迎えるものについては1月1日に新制度に移行します。マイホームの買換え特例など今年の不利益改正もこれに当たります。
生産性向上設備投資促進税制の事前確認
2013/12/24 法人税
平成26年度税制改正大綱に盛り込まれた、「生産性向上設備投資促進税制」について、「生産ラインやオペレーションの刷新・改善」によって同制度の適用を受ける場合、設備の取得は経産局の確認を受けた後でなければならないことが明らかになりました。
同制度のうちBパターンに該当する「生産ラインやオペレーションの刷新・改善は投資収益率が(中小企業に関しては)5%以上であることが求められ、その事実を税理士・会計士が「事前確認書」でまとめなければなりません。
この事前確認書を最寄りの経産局に提出し、その後1か月以内に「確認書」が発行される手順になっています。
事業計画がまず先にあり、設備投資が決まっているにもかかわらず、減税措置を受けるために、ぐずぐずと導入を先延ばしするという可能性もあるわけです。
早期の着手を心掛けなければなりません。
認定医療法人(医療法人の納税猶予制度)の要件は?
2013/12/17 医療法人・医療関係
平成26年度税制改正大綱における、認定医療法人の相続税納税猶予制度に注目が集まっています。
認定制度そのものは、今後の医療法改正によって輪郭が明らかになるので、本当に「使える」制度なのかどうかは、いまだ明確ではありません。
社会保障審議会医療部会の「医療法等改正案 参考資料」によると、法律に基づく移行計画を策定し、これを「都道府県知事」が認定する制度を「移行促進策」として掲げています。
一方、昨年末に厚労省から出された改正要望に盛り込まれた、相続税・贈与税の納税猶予措置では、納税猶予の要件として相続税法66条4項の不当減少についての判定要件と同様のものとうたっていました。
昨年の厚労省要望と、今回の税制改正大綱に盛り込まれた「納税猶予制度」の違いとして以下の点が挙げられると思います。
① 今回改正は「医療法改正」を受けて導入されるものであること
② 認定制度の施行の日から3年以内に厚労大臣の認定を受ける「期限を切った」
制度であること
以上の点から、平成25年厚労省要望に見られた納税猶予制度とは、ニュアンスの違ったものになる可能性があります。
逆に、全く同じものであればほとんど使えない制度ということになるのですが。
医療法改正の推移を見守りたいと思います。
認定医療法人制度(医療法人の納税猶予制度)の創設
2013/12/13 医療法人・医療関係
平成26年度税制改正大綱が昨日発表されました。
平成26年度税制改正大綱↓
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/zeisei2013/pdf128_1.pdf
注目したものの一つに「医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の創設」があります。
平成25年度に厚労省から出されていた納税猶予制度と同様のものと予想していましたが、実際の文言に当たってみると、どうも様子が違います。
納税猶予の対象となる「認定医療法人」について、次のように記されています。
認定医療法人(仮称)とは、良質な医療を提供する体制の確立を図る
ための医療法等の一部を改正する法律に規定される移行計画(仮称)
について、認定制度の施行の日から3年以内に厚生労働大臣の認定
を受けた医療法人をいう。(傍線引用者)
「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」とは、今後国会で審議され制定されるものですが、平成18年の第5次医療法改正時にも同一名称の法律が制定されています。
その新法で、「認定制度」や「移行計画」の詳細が固まる予定であり、大綱では「認定制度の施行の日から3年以内に」厚労大臣の認定を受けることが要件となっています。
これは、制度の施行日から3年間の時限的特例措置という意味で解釈してよいのでしょうか。
そうであるとすると、認定法人の要件についても平成25年厚労省要望に記載されていたものとは、全く異質の制度となることも考えられると思います。
今後の立法のゆくえを注意深く見つめる必要があります。
簡易課税制度の改正
2013/12/11 消費税
13日にも発表される予定の、平成26年度税制改正大綱の内容が少しずつ明らかになってきました。
交際費課税の緩和など新聞などで大きく報じられている他に、納税者にとって不利益な改正案も見られます。高額所得者の給与所得控除の減額のほかに、消費税関係の重要な変更も予定されています。
消費税簡易課税制度のみなし仕入れ率の改正は、毎年の税制改正で話題に上っていましたが、今回は厳しい改正が現実のものになりそうです。
・ 不動産業のみなし仕入れ率が現行の50%から40%に引き下げられ、
・ 金融業・保険業については現行の60%から50%に引き下げられる
というのが具体的な改正内容です。
平成27年4月1日以後開始の事業年度から適用される予定です。
該当業種は、税率アップとは別に、資金繰り対策が必要になってきます。
ゴルフ会員権の損益通算廃止の見込
2013/11/29 所得税
ゴルフ会員権の譲渡所得の損失と他の所得との通算が、平成26年度税制改正で廃止になる見通しです。
廃止の方向は明白として、その実施時期がいつになるかが毎年の税制改正時期の関心事でしたが、ついに廃止のときが来るようです。
平成26年1月1日以後の取引から、損益通算が不可となるようですので、売却損を計上するならば、あと1か月しか残されていません。
この税制改正法案が国会を通過するのが来年3月あたりですので、あきらかに遡及して納税者に不利益な措置が法定されることになります。
平成16年に不動産の譲渡損失が、他の所得と損益通算不可となった時は遡及的に納税者に不利益になる法制の適否が最高裁まで争われましたが、問題なしとの判決が出ています。
繰り返しになりますが、ゴルフ会員権の売却損を有効に発生させるには、おそらく1か月の時間しか残されていません。悔いのないように決断すべき時です。
役員給与所得控除に再びメスが入る可能性
2013/11/28 所得税
平成26年度税制改正大綱は12月12日(木)に決定する見込みで各項目の調整に入っています。
気になる動きとしては、「役員給与に係る給与所得控除の縮減措置」が財務省の強い意向で盛り込まれようとされていることです。
平成22年に廃止された、悪名高い「一人オーナー課税制度」に代わるものとして平成23年度改正案に盛り込まれながら見送られていた増税措置が、ここにきて再登場するという話です。
役員給与の額が、2000万円から4000万円の間は給与所得控除額が逓減され、4000万円を超えると125万円の控除で頭打ちになるというのが、23年度改正案でした。
給与所得控除を一定額を上限に、頭打ちになるという措置に関しては甘受できても、一定額を超えると減額される措置の合理性を見出すのは困難です。
自民党税調の議論を注視したいと思います。
国境を超えた役務提供等への消費税課税
2013/11/15 消費税
太陽光発電の即時償却による株価変化
2013/10/21 相続税
太陽光発電設備については即時償却が認められ、税制上の優遇措置が認められることは周知のとおりです。
この優遇税制を使うことで、会社の利益が圧縮できたため、自社株を低めに評価でき贈与などのチャンスだと考える方もおられると思います。
類似業種比準価額の計算の所得計算上、即時償却による損金計上分はマイナスして計算して構いません。この点、実務家の間で若干の不安があったようですが、問題なくマイナスして計算することができます。
ただし純資産評価額を計算するに当たっては、簿価ゼロのまま評価してはいけません。
定率法で償却したものとして、別途に評価しなおす必要があります。
自社株贈与などのチャンスであることは間違いないので、詰めの部分で間違いがないように気を付けたいものです。
最高裁判決を受けた国税庁の通知
2013/10/10 相続税
最高裁判決が、非嫡出子の差別を違憲と判断したのを受けて、課税庁も相続税法の取扱を変更することを決定したことは既報の通りです。
国税庁のHPに詳細が記載されていますのでご紹介します。↓
nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h25/saikosai_20130904/
通常の実務において気を付けるべきは、9月5日以後に「申告期限」が到来するものについては、従来と取り扱いが異なると考えておけば間違いないでしょう。
ところで最高裁判決は、非嫡出子に対する取り扱いが違憲状態となっていたのは、平成13年ごろからであると判示しています。にもかかわらず、税務の取り扱いが平成13年まで遡って更正の請求などを認めていないのは、同判決に「確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものでない」旨の記述があるからだそうです。
個別の事案ごとに検討すべきことが多すぎるので、一律に過去に遡っての判断は難しいと考えたのだと思います。